連盟版・駒落ち手合いルール

2003年8月31日より施行

 日本中将棋連盟ではこのたび段級位規定の改正にあわせ、駒落ち手合いの公認ルールを制定いたしました。基本的には中将棋全集を元といたしておりますが、そこにいくつかの修正点を加えて日本中将棋連盟の公式・公認対局としての駒落ち手合いを紹介いたします。

 

一.手合いの種類

下に行くほどハンデの大きな手合いとなります。

1.平手
2.小駒落
3.横行落
4.竪行落
5.二枚王
6.獅子二
7.獅子二飛車落
8.獅子三
9.獅子三奔王落
10.獅子三奔龍落

二.各手合いの駒組みについて

 (各手合いの説明中、下線部の詳しい説明は三.で後に紹介します)

2.小駒落

 上手の駒組みから、右辺の金将・銀将・銅将・猛豹のいずれか一枚を落として対局する。

3.横行落

 上手の駒組みから、1.右辺の横行を落とし、2.その横行の穴に小駒を埋め<後に解説>3.さらに小駒を二手移動<後に解説>させてから上手の先手で対局する。

4.竪行落

 上手の駒組みから、1.右辺の竪行を落とし、2.その竪行の穴に小駒を埋め、3.さらに小駒を二手移動させてから上手の先手で対局する。

5.二枚王

 下手の駒組みから、酔象を太子に置き換えて上手の先手で対局する。

6.獅子二

 下手の駒組みから、1.麒麟を獅子に置き換え、2.上手の小駒を二手移動させてから、上手の先手で対局する。

7.獅子二飛車落

 下手の駒組みから、1.麒麟を獅子に置き換え、2.上手の駒組みから右辺の飛車を落とし、3.上手の小駒を4手移動させてから上手の先手で対局する。

8.獅子三

 まず上手の麒麟と下手の鳳凰とを取り替え、下手の麒麟二枚をすべて獅子に置き換え、上手の小駒を4手まで移動させてから上手の先手で対局する。

9.獅子三奔王落

 <8.獅子三>の駒組みに加えて、上手の奔王を落とし、落とした奔王の穴に小駒を埋め、さらに上手の小駒を6手まで移動させてから上手の先手で対局する。

10.獅子三奔龍落

 <8.獅子三>の駒組みに加えて、上手の奔王・右龍王を落とし、落とした穴に小駒を埋め、さらに上手の小駒を8手まで移動させてから上手の先手で対局する。

 

三.基本的なルール

 1.駒落ちでの対局はいずれの手合いも上手からの先手となります。

 2.奔王以下の走り駒を落とすときは、右辺の駒を落として行います。また、落とした穴の部分に小駒を埋めます。このときの小駒は金将・銀将・銅将・猛豹に限られます。

 3.獅子の増加分と、走り駒の落とした枚数分に対して、上手はその倍の手数分まで小駒(金将・銀将・銅将・猛豹)を繰り出すことができます。<なので、獅子三奔龍落では獅子の増加二枚分と奔王・龍王の二枚、合計4枚に対して倍の8手まで小駒を繰り出すことができます>必ず決められた手数分動かさなくてはならないというわけではありません。これ以上動かせない場合や不必要なときにはそこで残りの手数をキャンセルすることができます。

 

四.補足事項

 ・今回、日本中将棋連盟の対局記録として中将棋全集をもとに駒落ちの手合いを導入しましたが、一部の手合いを追加・削除しております。以下に挙げる手合いは中将棋全集記載のものですが、まず上手が勝つことはできないと考えられるほどの大きなハンデなため、今回削除いたしました。参考資料として掲載いたしますが、これらの手合いでの対局は日本中将棋連盟の公式記録には現時点で反映されませんのであくまで練習対局として使われるようにお願いします。

 

 

<参考資料>

☆中将棋全集の駒落ち手合い☆

1.平手
2.小駒一枚落ち
3.横行落ち
4.竪行落ち
5.獅子二
6.獅子三
7.獅子三奔王落ち
8.獅子三奔龍落ち
9.獅子三奔龍飛落ち
10.獅子三奔龍飛竪落ち
11.獅子三奔龍飛竪横落ち(獅子三片)

☆9.から11.の手合いの解説☆

9.獅子三奔龍飛落ち

 獅子三の手合いに加えて、上手の奔王・右龍王、飛車を落とす。<これ以降の手合いでは、先手側が対局前に自軍の駒組みを自由に組み替える事が出来る。詳細は後で>

10.獅子三奔龍飛竪落ち

 獅子三枚に加えて、上手の右側の奔王から竪行までを落とす。

11.獅子三片駒

 獅子三に加え、上手の右側の奔王から横行までを全て落とす。

 

 図1.獅子三の手合い

 上手側の麒麟の位置に、下手側の鳳凰が入り、下手の鳳凰の位置に成り獅子が入ります(黄色のマス)。

 また、水色のマスは駒落ちの時に落とされる側の駒です。奔王のある6列目から1列目の駒が対象となります。これは駒落ち手合いの原則です。

 さて、小駒の移動について詳細しますと、獅子三の場合、相手の獅子が二枚多い=四手分。(走り駒が一枚落ちるにつき二手分を)上手が対局前にその手数の分だけ自軍の内部で駒を動かすことが出来るのです。この図ではつまり四手動かせますが、自軍の中だけなので、十一段目の四マスに指し動かすことしか出来ません。なので獅子三以上の駒落ちになってもあまり意味がありません。

 

図二.駒組みできる範囲

 獅子三奔龍飛落以上の駒落ちでは、あまりに大きいハンデを埋めるために上手側が対局前に自陣の中を好きに駒組みできます。

 対象となるのは上手側の赤色・黄色マスの駒を除いたすべての駒です。自陣が前進してはいけないため歩兵と仲人は動くことができず、また馬(角)は中将棋では移動できない駒として昔からの決まりがあるそうです

 そして獅子と鳳凰(麒麟)も原則動けません。ピンクの駒は小駒ではありますが、横行落から獅子三奔龍落までの間の対局前の移動では動かしてはならないと決められています。

黄色のマス目に関しては、特に記載はなかったのですが文献中では動かされておらず、おそらく同様に動かしてはならないと決められているのだと思われます。